大好きだった母親を、
一番一緒にいて欲しい時に亡くした。
当時私は小学校上がりたてで
なにかしてあげようにも、なにもできないでいた。
亡くなる数週間前に、
なんだか思いきり甘えたくて一緒にベッドで横になったのが
あの時のお母さんの感触とにおい
まだなんとなく覚えてるよ。
きっと父への深い愛と、
あまりにも早い死を許せなくもいた。
亡くなる瞬間も
一番遠くで
ただ立っていた。
父が咽び泣いていて、飼っていた犬が2回吠えていたのをよく覚えている。
そんな自分が嫌で
どうしても自分を好きになれなかった。
「お母さんがいれば、こんな思いしなかったのに」
なんて意味のないことばかり考えて泣いていたように思う。
ただ、思いってのは良いことも悪いことも風化するもので
一緒に苦しんでいる父と妹と弟
お母さんの葬儀の時に抱き締めてくれた先輩
一緒に悲しんでくれた友達
サポートしてくれた親戚
誰からも愛されたお母さんだったから、そんな人の娘だったから、
みんなが優しくしてくれたんだと思う。
私は誰かのお母さんにはなれないけど、お母さんみたいな人になりたいと思うよ。
優しくて、しっかりしてて、甘じょっぱくておいしい卵焼きを作る、そんな人に。