車に乗っている時、妙な所に目がいくことが多い。
運転している時は見られないが、助手席や後部座席に乗っている時は、景色をよく見ることができる。
その景色を見る時、普段はあまり気にしていないところに目が移る。
高速道路ならば、山々の谷間、雲の様子、町の全貌など。
普段の生活では時間の流れが速くて、目を向けることがないようなものにも目が向くようになる。
高速道路を走っている時、木々が生い茂る険しい山々の上を通ることがある。
その時に思うことがあるのだが、この山々の谷間に急に放り込まれたらどうなるのだろう。
助かることはできるのだろうか。
山を越えても山。その先も山。
頑張って頂上にたどり着いても、見渡す限り同じような山が続いている光景は、高速道路を走っている車から見る景色とは違い、絶望感がある。
高速道路のこの位置からだと見えないだけかもしれないが、少なくともここからは何も見えない。
夜になれば、このあたりは真っ暗になるだろう。
何日も歩けば、どこかにたどり着くのだろうか。
正直、自信がない。
食料などの問題もある。
そのようなことを考えると、かなりの恐怖だ。
今はこうして景色を楽しむことができているが、ひとたび山の中に放り込まれたら、ひとたまりもない。
フィクションでしか存在しないような何かが、現実に存在している可能性もある。
そのようなことを思うと先ほどの恐怖の気持ちもあるが、想像の余地があるためか楽しさという気持ちもわいてくる。
そんなことを時たま考える。