同じことで私も昔悩んだことがあるよ。私の場合は金銭価格ではなく、仕事への価値観とかそういうことだったけど。
数年ぶりにあった友人・・・仕事を一生懸命にやりたい自分と、サラリーマンとして無難にやっていきたい友人との間で、学生のときとはぜんぜん価値観が合わなくなっていて話ができなくなった。
吉本隆明が『悪人正機』という本の中で、同じテーマについて語っていたよ。
彼もやっぱり、幼い頃の友達に、ある程度大きくなってから会ったら全然話が通じなくなっていたって。そういう昔の友だちというのは「離ればなれに、どうしようもないくらい別々になっちゃう」って。だから「そいつがいい目にあってずっと生活できていればいい、以降会うことはないかもしれないけどそれでいいんじゃないか」と考えるようになったと書いてたかな。昔の友だちとの付き合いは、解決策がない。友だち関係は、友だち関係のあった自分の記憶の中にのみ残るんだ・・・って。
私もいまはそういう風に考えることにしている。昔の友人と末永くずっとつきあっていくっていうのは、本来的に難しい。でもそれは友人を大切にしないということではなくて、いまこの瞬間を大切にして、ずっとこの関係が続くということには期待しないし、昔の友だちとも昔の関係のままでいられることも期待しない。どこかで別々の人生を歩みはじめたところから、その友だちとはまったく別の価値観を歩んでいくことになるんだって。