2021-04-18

こうして私は虚無になった

かつて私は、ある創作分野で自分作品をいくつも作り、ネット上に公開していた。

高校生ぐらいからその活動をはじめ、大人になって仕事を始めてからもかなりの期間、趣味として創作を続けていた。


しかし時が経つにつれ、私は自分の衰えを徐々に感じるようになっていった。

作品を作るための根気や体力が続かなくなった。

感性も衰え、自分の納得するアウトプットを出すのが難しくなった。

時代の流れに取り残され、自分作品時代遅れになりつつあるのも感じていた。


そんな中でも、私は残った力を振り絞るようにして自分最高傑作となる作品を完成させた。

それは高校時代から構想していたもので、自分集大成と呼べるものだった。

若干時代遅れの作品ではあるものの、作品はおおむね好評だった。


私は満足してしまった。一つのことをやり遂げてしまったのだ。


そこで私は、引退をすることにした。

作りたいものは作り切ってしまったし、もうこれ以上続けても過去作品を超えられる見込みはなかった。

衰えたままずるずると続けるよりきっぱり辞めたほうがいいと思った。


過去作品一定期間の後に全部削除した。これは自分の未練を断ち切るためだ。

ネット上のアカウントも削除し、私の過去を示すものは何もなくなり、私はただの人になった。


引退して私は、はじめて「暇」というものを知った。

これまでは帰宅後や休日は常に創作をしていて、やることが何もない日などなかった。

創作をしなくなって、休日に何をすればよいかからなくなった。

新しい趣味を始めようと色々手を付けてみたが、何をやっても続かなかった。

創作一筋の人間から創作を取ったら、何も残らなかったのだ。

次第に、何をやっても虚しさを感じるようになった。


こうして私は虚無になった。

私の人生の一番楽しい時期は終わり、あとは余生が続くだけなのだ

仕事はしているが、仕事別に楽しくない。

楽しみはせいぜい、こうして増田に何ともいえない文書を吐き出すだけだ。


この長い余生を、この先どうやって生きていこうか。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん