もうちょっと対象範囲は広いが。上級弱者、下級弱者にもつながる指摘。
「現代日本のように表面的な平等化が進み、飢えも暴動も戦争も無いところでは、みんな小さな差異に敏感になり、『正常値のうちの下限にいる人々』はますます救われない。これは、ほんとうに大変なことである」
「現代日本で身長155センチメートルの若者はこの悩みを知っている。醜いとしか言いようの無い女性はこの悩みを知っている。身体障害者や精神障害者なら、その人権は手厚く保護される。彼らは人権侵害に対して声を大にして訴えることが出来る。だが、身長155センチメートルの若者が『チビ同盟』を結成してその苦しみを訴えることが出来ようか?偏差値40の大学生が『アホ同盟』を結成して『我々を軽蔑するな!』と叫んでも誰が耳を傾けよう?まして、醜い女性が『ブス同盟』を結成してみても、それは結構なお笑い種だろう。・・・かくして、彼らは『正常値』のうちにあるがゆえにいかなる声も発することも出来ず、社会問題にすることも出来ず、彼らの悩みは打ち捨てられた悩みとなる」