久しぶりに一人で電車に乗った
社会人になってからはずっと車移動だったので、電車に乗ると嫌でも学生の頃を思い出す。
友人が少ないながらもいたが、あまり良い思い出は残っていない。
その中で自分が大切に大切に取っておいて、定期的に懐かしがるのは全て通学の記憶だ。
寒い冬の朝。電車内の座席だけがヒーターで馬鹿みたいに熱くて、もうあと数分で学校の最寄り駅に着くのに、ここから立ち上がりたくないなと強く思う。寒さと学校への嫌悪感のせいだ。このまま乗り過ごしちゃおっかな。と思って実際にわざと乗り過ごしたのは1度だけ。あとはちゃんと立ち上がった。偉い。
電車から出ると寒い。とにかく寒いが学校に向かってミッシェルガンエレファントを聴きながら歩く。オトナになったらタバコとお酒をいっぱい摂取してこんなカッコいい声になりたいなと思っていた。結局大人になってからもお酒もタバコもしなかったし自分の声は甲高いままだ。
しばらく歩くと友人を見つける。話しかけたほうがいいだろうと思いつつ、もう少しミッシェルを聴いていたくて気づかないふりをする。が、すぐに友人が自分に気付き手を振って合図する。あぁ、めんどくさいな、の気持ちとこんな自分に話しかけてくれることへの嬉しさが混じる。ポケット中に手を突っ込みウォークマンの停止ボタンを押してイヤホンを耳から引っこ抜くと急に周りの学生の声がはっきりと聞こえ出す。
この自分の世界がパタンと終わって外の世界に飛び込まされる瞬間を今でも時々思い出してノスタルジックな気持ちになる。
あとは1限を受けただけでめんどくさくなっちゃって早退したときのこと。雨の中を駅までくるりを聴きながら歩いた。ぼーくがたびーに出る理由はーなんて一緒にひとりで歌いながら、遠くに行きたいなとボンヤリ思った。この思い出も思春期ぽくてお気に入り。