彼らのストリートパンティーは見ごたえがあり自分も毎日のように見に行った。
彼らと親しくなった俺はマー坊と呼ばれるようになりストリートパンティーのセッティングなども手伝うようになった。
どうやらスカウトしにきたようだった。その話をチラチラ聞いていると自分のことのように嬉しかった。
だが一気に空気が変わった。
「悪いんだが今回スカウトしに来たのはカブリの弟くんだけだ。」
どうやらすでにパンティーメンバーが決まっており空席のカブリを弟に任せたいという話だったようだ。
「いや、無理っす。俺は兄貴と一緒じゃないと。」
弟が言った。
「いえいえ、すみません、弟はこんなこといってます連れて行ってやってください。」
兄は頭を下げながら言った。
確かに弟のカブリセンスは大人になった今まで見てきたパンティーストの中でも頭一つ抜けていた。
兄のニギリセンスも高かったように思えるがやはり学校などで学んできた人と比べると荒々しいのも思い出す。
「兄貴なにいってんだよ。俺たちいつでも二人でやってきたじゃねーか!俺、兄貴と一緒じゃないといきませんから。」
引き下がらない弟。
「…あのな、今まで黙ってきたけどおまえのカブリミスが多すぎなんだよ。俺が合わせてやってるのわからねーのか?おまえは東京にいって学んでこいバカタレ」
嘘だと思った。だが、
「は…?そんなことおもってたのかよ…わかったよバカ兄貴。嫉妬すんなよ。絶対に売れっ子パンティーストになってやるからな。」
「あ、あの…」
俺が兄に声をかけると
「わりぃ 今日からしばらく中止な マー坊の学校の奴らにも言っていてくれ」
声が震えていた。俺はコクリと頷く。
あの日から兄もどこかにいったようで町で見かけることもなくなった。
弟のほうは皆さんもうわかってると思うけど思い浮かべた人であってます。有名なエピソードですからね。
この前久しぶりに兄のほうに会いました。
今はパンティー講師をしてるみたいです。弟とはまだ和解できていないようで、四国の方ではまたパンティーメンバーを集めてニギリしてるみたいです。
「もう追い越すとかいう歳でもねーけど、おれはずっとニギリ続けていくよ。」
その目はあの日のことを後悔なんてしていなさそうでした。