迷子になってた。道路は舗装されてるけど畑と家が交互にあるような半住宅街で。電車も通っていてほとんどが坂道だった。
俺は何故か信号待ちしてるチャリにのった兄ちゃんに「すみません、港ってどっちですか」と話しかけていた。どうやら港に向かわなければならないらしかった。「うーん、あっちだね」と兄ちゃんは坂の上の踏切の先、白く霞んだ山を指した。お礼を言おうとしたら「ちょっと待って一応調べるから」と兄ちゃんはスマホとにらめっこしだした。なぜか俺は焦りだして「いえ!ありがとうございました」と信号を渡ってまた歩きだした。
そしたらその道の先に見た事ある人がいて、俺の名前を呼びながら駆け寄ってきた。「あぁー!無事!?大丈夫!?怪我はない!?」と矢継ぎ早に大声で心配された。俺はひょうひょうとした態度で「大丈夫です。他に迷子っています?」となぞの質問をしてた。
起きてから思い出したんだが、その人は中学生のときの担任だった。なんで今になって思い出したんだろう。未だに年賀状送ってくれるような優しい人なんだ。そうか、年賀状で久々に写真みたからかな。今朝は妙に懐かしい気持ちだった。