公文のS.R.Sという
ほんの数カ月しか通わず、生徒も自分ともう一人という寂れたところだった。授業中に眠くなったことと、たった一人のおばさん教師が椅子と机を整頓している風景しか思い出せないのだけど。
だけど妙にその記憶が頭から離れない。せめて場所だけは思い出したい。
だけど当時の記憶は曖昧で、ビルの1室を使っていたことと学校から数駅離れていたことしか覚えていない。階段かエレベーターを使った。そのくらいだ。
まるで霧の中で迷い込んだ魔女の館のようだ。しかしその不鮮明さが却って好奇心をくすぐる。
ストビューを使っても思い出すのは困難だ。
なんてくだらない。思い出したからといって何が変わるわけでもない。いい記憶すらないはずだ。
多分これは贖罪なんだと思う。
真面目に授業を受けず、たった一人の教師にも砂をかけるように辞めてしまった自分。確かに馬鹿みたいな教材と内容だった。それを馬鹿にしていた自分もまた大した人間にはなっていない。
あの頃の自分にあってみたいんだろう。