良くも悪くも有名な翻訳家戸田奈津子曰く翻訳家はスクリプトを渡されてそれを基に字幕を作るらしい。なのに内容を理解しているとは思えないようなことを書きまくって字幕が酷いということはどの翻訳家でも同様。
ダークナイトライジングでも同じことが見られる。
この映画のテーマはmove on(先に進む)と言っていい。前作で人生の唯一の救いである婚約者(仮)が吹き飛んだことでブルースは失意に暮れる。
最初はブレイクが、みんな孤児にmove onというがそれは無理だ、という文脈。ここで字幕ではこの訳は消滅している。確かに、この部分だけなら不要だ。削っても理解できる。
二度目はアルフレッドがブルースに言う場面。そろそろ"先に進んで"くださいと言った部分。ここでは字幕でもmove onが強調される。
三度目はアルフレッドが去るシーン。ブルースの口からmove onという表現が使われる。ここでも対訳はなし。洞窟から出る のみが字幕として現れる。
で、実際のストーリーとしては死の恐怖を再び感じ始めたブルースが奈落から"rise"して、その結果、move onできるようになったため、爆発の前に脱出して自分の人生を生き始めた、ということになる。
日本国内ではバットマンはあのまま死んだ説(アルフレッドの空想)などが流れているが、これは元の文章やタイトルを考えればありえない。このような論争を生むような翻訳家ばかりがいて、飯が食えているという事実にただただ悲しくなる。