好きになった人がたまたま既婚者だった。
ゴマキのニュースあったじゃん。あれと同じ、俺が救い出すって半分冗談のつもりで提案した。
そしたらそいつは俺の言葉を鵜呑みにし、籍を抜き、俺と結婚した。
愛された事のない人生で、そいつだけが俺をまともに見てくれた。外に出れば皆冷たい目を向ける。俺は基本的に人間が嫌いだった。
最初、あいつは良い子のフリをしていた。これから宜しくねと可愛く笑って見せた。
この家族だけは大丈夫かも知れない、ここに居場所があるかも知れないと希望が見えたような気分だった。元の家族と暮らせないという不満はあれど、月一であいつを兄弟に会わせる事で満足していたようだった。
はは、それが何?俺をそんな目で見るのかよ。
昼夜逆転した生活。人の目を盗むように冷蔵庫を漁る。この惨めな生き様が現在の俺だ。
驚くなかれ、ヒエラルキーで言うところたった9歳の少年の下に位置付けられていた。
あの目が嫌いだ。人を人とも思わない目が。あの演技性が嫌いだ。心の奥底では俺を見下している。
汚い物を見るような目をしてやがる。
手繰り寄せた紐はなかなか強固で、人一人殺めるくらいなら充分耐えてくれそうな気がした。
名文増田
劣等感が猟奇的思考を後押しする。例えば、この紐を首に縛り付けて交差させ、ほんの少し力を加えればあいつの骨は音を立てて折れるのだろうか。 ヒューヒューと喉から漏れる呼吸音...