油断してた。
二木の菓子でお菓子買ってホクホクしながら帰るために駅へ向かおうとしてた。
平日にもかかわらず人が多いから、早く抜け出そうと適当に歩いていたら、ケバブのある道を通っていた。
ケバブの前は外国人の店員が客引きみたいな力強い接客をしてて、すげーなーってぼーっと見ながら歩いていたら、ケバブの店員が自分の方にメニューを見せながら寄ってきた。
本当はケバブに目を合わせてはいけなかったんだろう。でもその時の自分は何も考えずに無闇にケバブを見てしまった。
見事にケバブ店員に捕まった自分は、イヤホンして音楽聞いてる自分にもケバブが来るのかと驚いて思わずイヤホンを外してしまった。
イヤホンを外したばかりに、まるで蜘蛛に捕まった虫がくるくると糸で巻かれるように店員に巻かれていった。
最初はケバブ美味しいよ〜と言いながら一気に自分との間を詰め、次にお兄さんかっこいいね〜と乗せながら後ろから手を回し肩を掴む。
この時点でもう自分は逃げる事ができなかった。
その後もここで食べる?持ち帰りもできるよ!ポテトもあるよと押しに押され、じゃ、じゃあ持ち帰りなら···と言ってしまった。
このジメジメした時にこってりこてこてラーメンを食べてしまい、気持ち悪さが残った状態でとてもじゃないが食べられないって時に買わされてしまった。
ケバブ1個500円。
500円。500円。その500円をケバブに使うなら、お菓子に使いたかったああああああ!!!!
と、叫びながら走り回りたい気分だった。
だけど元はといえば自分の不注意でケバブを見てしまった為に起きてしまった事だったから、よりショックが大きかった。
ケバブ店員がケバブ店に外国語でたぶん自分の注文を言っていた。
ケバブ店に誘導されると、何注文しますかともう一度聞かれ、ケバブくださいと言った。
ケバブの熱気がすごかった。
こんなジメジメしててもチョコレートが食べたいと思って買ったのだが、ケバブに溶かされそうになる。
早く帰りたかった。
500円を手放し、ケバブを迎えた。
せっかくお菓子を買って気分が良かったのに、帰りの電車ではずっとケバブの事しか考えられなかった。
ケバブに捕まってしまった。はぁ〜ケバブケバブと、頭の中でずっと繰り返されるケバブ。
もうとにかくケバブだったのだ。
ケバブは冷めていた。
チョコレートは溶けていた。
全然関係ないけど大阪でキャッチの女を無視して歩いてたら「おにいさん、挨拶くらいやろーや、人間の基本やろ!」って怒られたの思い出した ごめんって言ったら許してもらえたけど
ぼられたのかと思ったら500円かよ