娘が結婚したの。
娘と言ってもね、婆とは血が繋がってないのよ。
娘が4歳の時、婆がママになったの。(本当の母親は1歳になる前に他界したのよ)
爺は子供がいることで婆との結婚になかなか踏み切れなかったみたいなのね。
ある時婆と爺と娘とで買い物に出掛けた時に、爺が急用で30分ぐらい会社に行ったの。
その間娘と一緒に本屋さんで時間潰したんだけど、とっても良い子だったから「一番欲しいの選んでいいよ。お姉さんがプレゼントする」って言ったのね。
そしたら俯いて婆の手をギュッと握ってプルプル震えてるの。
「遠慮しなくていいよ?選んでいいよ?」って言ったら更にギュッと握ってきたの。
ちょっと出過ぎたことしちゃったかなーと思いながら、そうこうしてるうちに爺が戻ってきて。
娘の様子がおかしいと気付いてどうしたの?って聞かれて、そのことを話してたら今度はしゃくりあげて泣き出したのよー。
その日はそれでお別れして、婆すごく落ち込んだわ。
あー娘に嫌われちゃったらもうダメかもーって。
そしたらその日の夜に爺が「ちょっとだけ出られる?」って電話掛けてきて近くの公園で話したのね。
そしたら娘が“一番欲しいの”は婆だったのよ。婆にママになってほしかったんだって。
でも言葉にできなくて、気付いてもらえなくて、悲しくて泣いたんだって。
それ聞いて婆の涙腺は破壊されたわ。そしてプロポーズされて結婚したの。
ずっとずっと良い子だったわ。妹のこともとっても可愛がってくれて一生懸命面倒見てくれて。
もちろん娘に「ありがとう」は言ったの。
でもね、婆が本当に言いたいのは
ぅぉぁありがとおおおおおおおぉおぉぉぉぉぅぅぅぅううううううぃ!!!!!!
なの。