2019-04-28

所属していた研究室なんてなかった

増田が起きると、いつもの煎餅布団の中だった。

ゴミの散乱した六畳間。電灯は付いておらず、辺り一帯をパソコンの光のみが照らしている。

……そうだ。増田は思い出した。

今日今日とて、新しい記事を創出していた。

言ってもいない研究室についての記事投稿したのだ。

それがいつものように、コメントが付き、ブクマがされていって。

高揚感と興奮の裏に、ふと少しの恐怖を覚える。

『もし、これで全く覚えのない研究室摘発されたら?』

最近も某大学麻薬を合成していて書類送検が発生したことが頭をよぎる。

これで摘発されるくらいなら、普段から後ろ暗いことをしでかしていた研究室だ。

それに関しては問題ない。

だが、もし自分にまで事情聴取が来てしまったら?

こんな、一介の単なるM冶大学生に、どこで知り得たのかを詰問されたら。

途端に、感情が弾けた。恐ろしくなった。

急いで記事を消す。しかし、アーカイブがとられている。

増田アーカイブの消し方など知らぬ。記事拡散は留まらない、待ってくれ、頼む……



それが昨日までの出来事、のはずだった。

増田二世代前となったノートパソコンをみる。

記事投稿される前だった。

……そうか、寝落ちしたのか。

不思議と安堵した心持ちで、増田記事を削除した。

これが事の、顛末である

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