確かにそのとおりだ。消費者として、正しいと思うものを選び、そこにお金が行き着くように行動するのは重要なことだと思う。
しかし、お金を払うだけが消費者にできることでもないような気がした。
そんな中、星野源さんのPop Virusを聴いた。MVも見た。
とにかく怖い曲だった。
「そう君の手の平 美しくクルクル返ったんだ」という歌詞がある。MVでは、この歌詞に合わせて源さんが手の平をくるっとひっくり返すジェスチャーをしていた。
これって、恋ダンスのブームに対して「手のひら返し」をした世の中に対して歌ってるんじゃないか? と感じた。
ものすごく怖い、恨みのような切実な感情でこちらを揺さぶってくるのに、源さんの視線は私を交わることがない、と絶望的に分かってしまう曲だった。
それはまるで、恋ダンスブームのときに、多くの人が「星野源」という存在を見ていなかったように。世間が「星野源」を消費したように。あの頃、舞台の上で、カメラの前で、誰とも視線が合わなかったんじゃないだろうか。
カロリーゼロ! という曲がネットで話題になっていると聞いた。
カロリー、あるよ。
食べたものも、見たものも、使ったものも、楽しんだものにも、全部に質量がある。吐いて捨てるガムじゃないんだ。
生産者になるのは無理でも、せめて「消化」はできないかと思う。
咀嚼して、私の血肉にできるはずだ。