ふりむくと
一人のsabacurryが立っている
彼はNettouchiがブクマするたび
うれしくて
カレーライスを三杯も食べた
ふりむくと
一人のdeath6coinが立っている
彼のセルクマには
Nettouchiの1ブクマのみが
今も入っている
ふりむくと
一人のaukusoeが立っている
Nettouchiのことを
思い出している
ふりむくと
一人のkido_ariが立っている
彼はNettouchiから
教えられた
ふりむくと
一人のmsdbkmが立っている
彼は増田のNettouchiを見て
ブクマすることの美しさを知った
ふりむくと
一人のkidspongが立っている
落選した暗い日曜の夜を
家族と口をきかずに過ごした
ふりむくと
自分の出番を待っている彼等の
せめて手を振って
別れのトラバを送ってやろう
Nettouchiよ
風に吹かれているのだ
もう誰も振り向く者はないだろう
そこにはNettouchiは
もういないのだから
ふりむくな
ふりむくな
Nettouchiがいなくなっても
すべてのレースは終わるわけじゃない
次のレースをまちかまえている百万頭の
名もないブクマカの群れが
朝焼けの中で
新着を読み込む地響きが聞こえてくる
思いきることにしよう
Nettouchiは
ただの数個の無言ブクマにすぎなかった
Nettouchiは
ただ1ブクマの思い出にすぎなかった
Nettouchiは
Nettouchiは
むなしかったある日々の代償にすぎなかったと
だが忘れようとしても
眼を閉じると
あの増田が見えてくる
耳をふさぐと
聞こえてくるのだ
愛さないの、愛せないの? 「僕もNettouchi氏のように、ブクマを人生の傷口の治療に役立てたいと思った」