「広げた風呂敷が畳めない」漫画の話~例えば浦沢直樹を中心に/夢枕獏は「そもそも不要」論!
http://b.hatena.ne.jp/entry/364097530/comment/pecan_fudge
id:pecan_fudge 幻魔大戦はどうなった…
幻魔大戦は違う。Steins;Gateやまどか☆マギカなどと同様,風呂敷をきちんと畳んでいながらも,いくらでも風呂敷を広げられるタイプの物語だ。以下,三作品のネタバレ全開なので注意。
Steins;Gateは,数多の世界線を漂流し,奇跡のように存在するシュタインズゲート世界線をめざす物語だ。そこにたどりつく物語として立派に風呂敷は畳まれている。ただ,最終的な成功の裏には大量の「失敗した世界線」が存在し,その世界線での人々の思いがラストに結びついた,という構造になっている。そのため「失敗した世界線」の物語をいくらでも追加で書くことができるのだ。最終的に世界が第三次世界大戦にほうりこまれさえすれば,いくらでも風呂敷を広げ続けることができる。異なる世界線なのだから,誰を登場させようが何をさせようが自由だ。
おなじようにまどか☆マギカも,ほむらが経験したループの一つとしていくらでもスピンオフがかける構造になっている。最終的にまどかが死ぬか魔女化するかすれば,どんな物語でも書くことができる。
幻魔大戦も同じだ。幻魔によって滅ぼされようとしている並行世界の一つで,フロイが東三千子と交わることによって東丈という救世主を生み出した。東丈は三千子とともにあらゆる並行世界に広がり幻魔と様々な手段で戦い続ける。それが物語の根幹だ。ある世界では幻魔に勝ち,ある世界では幻魔に敗れる。力でぶつかる世界もあれば,人々の心をめぐって戦う世界もある。東丈が存在しない世界もある。ある世界の物語は完結し,ある世界のものは未完で放り出される。
それが幻魔大戦だ。