なんでだろうとしばらく頭をひねった結果、ついさっき頼まれた用事が原因臭いことがわかった。
用事というのは、70過ぎのじいさん役員に頼まれた落として外れたガラケーの電池を付けてほしいというものなのだが、どうもこの携帯トイレに落とした臭いのだ。
部屋の外から直接頼みに来た時点で臭いなとは思っていたが、渡された蓋が濡れていたことで確信した。
水没したわけではない臭いが、トイレにいった手で直接持ってきて悪いとは思わなかったのだろうか。
電池を付け終えていざ通電を確認しようと画面を開いた瞬間に、油脂でギトギトになった携帯の画面と、おじさんが凝縮されたような臭いが立ち込めるのがわかった。
それに気づいたときにはすでに手遅れで、開くときに油脂を触ってしまった指には、しっかりと加齢臭がこびりついてしまったようだ。
もちろん直後に石鹸で手は洗ったのだが、その程度で落ちるような臭いの臭さではなかった。
あれからマウスやらキーボードやら、(なんならこの増田を書いていることもそうだが)色々なものに触ってしまったためか、VR加齢臭空間にでも入り込んでしまったかのように臭い。
さっきから雑巾でいたるところを拭き取っていても臭いが取れる様子はない。
しかも人間不思議なもので、臭いとわかっていながら指の臭いを臭いかどうか確認するために定期的に嗅いでしまう。
そしてもちろん臭い。
どこに臭いの原因があるかわからない以上、生活しているだけでいつの間にか臭いが身体に戻ってくるのだ。
そしてその度にあのじじいの胸糞臭い顔を思い出すだろう。