いつも家系図自慢(真偽はわからないが)をしていた本籍地もいつの間にか動かし、好きだったカメラも飛行機の資料もほとんどすべて処分されて、それでも母に愛されたくて遺産は全て母に、葬式には兄弟さえよばなくていい、と言った。
しかし故郷の話は好きな父だった。田舎育ちで最後まで近所の里山に心血を注いでいた。田舎嫌いの母親は理解し難かったようでかなり強引にやめさせようとしたが、他のことはなんでもいいなりだったくせにそれだけはやめなかった。
お父さん、あなたはバカだったよ。決して愛してくれない人のために子どもにまで犠牲を払わせて、自分で尊厳を捨て去ってさ。たぶんあなたの妻は数年で4000万を使い切るし、子どもに全力で寄生しようとするだろうけど私は面倒は見ません。勝手に野垂れ死ねと思ってる。それがあなたの残したものだよ。