質量保存の法則から言って、有限のエネルギーの中で宇宙が膨張し続けているのは矛盾している。
なぜそんなことが起こりえるのだろうか。
この問題を解決するにあたって、シュレディンガーの猫がヒントをとうの昔にヒントをくれていたのだ。
ガスの充満した箱の中にいる猫は生きていながらに死んでいる。
では猫の質量はどうか。
当然箱のまま重さを測ればその重さを知ることができる。
しかし、誰にも触れられないままでそこにある箱は本当に質量があるのだろうか。
言い換えれば、箱のなかの猫は、生きていながらに死んでいるように質量がありながらないと言えるのではないだろうか。
もしそうだとすれば、宇宙が膨張するためにはエネルギーが必要ないということになる。
乱暴な話をすれば、今観測されているものだけさえにエネルギーがあれば、宇宙はいくらでも膨張できるということになる。
言い換えれば、宇宙が膨張し続けられるのはそこにエネルギーがあるからではなく、可能性のまま膨張できるからこそ膨張を続けていると言えるのではないだろうか。
光の速さが一定であるように、宇宙で観測できる質量は常に一定である。
もし宇宙全体の質量に匹敵するような質量の存在を宇宙で観測しようとすれば、光が空間や時間を歪めるように、質量は空間や次元を歪めることだろう。
そうして観測不能な空間が作り出されることで、宇宙は質量を一定にしたまま膨張を続けられるのだ。