私は生まれつき、下顎が出ていた。
顎変形症というちゃんとした病名があるらしい。
いちおう女として、多少はコンプレックスはあった。
ちょっと話は飛ぶが、
ついに下顎を後ろに引っこめる手術した。
手術が終わると私の顔はパンパンに腫れあがり、
おたふくさんみたいになった。
でも一ヶ月も経つと、腫れも完全に治まり、
私はまた今までの生活を取り戻していった。
化粧をするため、母の部屋の大きな鏡の前に立つと、なぜかドキッとした。
この胸の高鳴りはなんだろう、まあまさか、とは思いつつ、
22年間見てきた姿じゃないかと、自分を納得させようとしていた。
私はじっーと自分の顔を見つめた。
「あれ?かわいい…」
鏡に顔を近づけた。危うく鏡にキスするところだった。
やっぱりそうだ。私は私に恋をしていた。
と訊いてみた。
「何言ってんの? うち、○○(私)の彼女だよ?」
と笑いながら彼女は言った。
でも、私は私に恋をしてしまった。
毎晩ベッドに入って、私はおやすみの前に鏡を見る。
明日も頑張れそうだ。