中堅企業の社長K氏が人事部長J氏を呼び出し、次のように説教をした。
「我が社の人事部は、優秀と世間からの評判だが、社内からは新入社員の質が悪いという苦情がきている。どうしたのだ?」
人事部長は答えた。
「社長、優秀な人材にも内定は出しております。しかし、業界1位のA社に引き抜かれてしまうのです。」
「すると、業績は同程度ですが、賃金の良いB社に…。」
「では、さらに多く取れ!」
「もちろん、最善は尽くしております。ただ、優秀な学生ほど、業界研究をしておりまして、我が社の業績不振や平均より低い賃金体系を把握しています。」
社長は深い溜息をつき、こう言った。
「確かに、我が社の業績を棚に上げ、新入社員の質を批判するのは筋違いだった、すまないことをした。」
「いえ、社長お気になさらないでください。実は私、業界1位のA社から高待遇の転職の話をいただいております。良い機会なので、このまま引き継ぎのご相談を。」