2015-04-09

夢枕じゃない枕元に親父が現れた話

夜中、ふと目が覚めた。隣には親父が寝ている。

 私「!?」

私は一人暮らしだ。横で親父が寝ているわけがない。

 私(もう歳だったからな……)

御年68歳。

死ぬにはちと早い気もするが、死んでもおかしくない歳である

きっと親父は一人息子である私に最期のお別れを言いに来たのだ。

しかし、隣で寝る親父は気持ち良さそうにスヤスヤと寝ている。

おい、何か言ってくれ。せっかく来たんだろ?

黙して語らない親父は不自然であった。

だが、親父にも増して私が不自然であった。

頭はぼんやりしているが、夢を見ているわけではない。覚醒した状態なのだ

起きる→親父を見る→寝る→起きるを5ループくらい繰り返していた。

眠いのを我慢して無理やり起きている状態を維持し、耐え切れずに寝る。この繰り返しだ。

 私(ラリっとるだけちゃうか?)

私は自分ベンゾジアゼピン睡眠薬の濫用者である事実思い当たる

その夜も"適量"を服用していた。

睡魔との戦いは濫用者へ課せられた試練である。寝てしまっては酔い心地を味わえない。

親父を見ている時に襲ってくる眠気は眠剤のそれに酷似していた。

親父は幻覚だろう。

ベンゾジアゼピン睡眠薬の忌むべき副作用に"幻覚"があるのだ。

さらにその夜、私は長期作用型の眠剤をキメていた。

本当はハルシオンのようなウルトラショート眠剤遊びには向いているのだが、諸事あってロングしか手元になかったのだ。

効き目の長い眠剤ゆえ、私は5回も親父に会うことになった。

この話にオチはない。

(眠りに)オチたらジャンキー失格である

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