思い出した.
時間が限られていて,待ち時間が長くて,乗っている時間も長くて寝ているだけ.
嫌なにおい,振動,車酔い.この世の嫌なものを集めたのがバスみたいに思っていた.
これだけで往復3時間だ.
バスの停留所もさみしくて,一緒に帰る友達がいなかった自分は一層さみしかった.
部活も夜遅くまでやるようなものには入れず,高校からそそくさと帰るだけだった.
待合室が苦手だった.いつも閉め切られていて風はなく,夏も冬も不愉快な環境であった.
待合室は老人たちでいっぱいで,この風が通らない空間に満足していて,
ストーブがやかんをかたかた揺らす音を黙って聞いている,そんな態度がとても嫌いだった.
待合室に併設された定期売り場はいつも同じおばちゃんがいた.
この朝から晩まで温度の均一な空間でよく働けるものだと感心した.
市までのバスは仕方ないとして,市から高校までは自転車を使うことにした.
信じられないくらい自由だった.
この大嫌いな待合室や高校前のバス停を横目にすごいスピードで移動できた.
しかもいつでも!
友人の家にも,遠くの本屋にも,電機屋にも行けた!
夕暮れになるのを風の中で感じることができた.
30歳で転職し住まいを変えた.再びバス通勤をすることになった.
この路線は乗客が多く,相席が当たり前でとても狭く感じた.
最近なぜか車酔いがひどくなり,バスでスマホでも見ようものなら5秒で気持ち悪くなった.
これに嫌気が差して最近自転車を買い,これで通勤するようにした.
ああ! なんて自由なんだろう!
どこに行こうが,何をしようが全て自分の都合とタイミングで決めてみせる.
そんな前向きさを自転車は与えてくれる.
みんなが自転車通勤を行使すると道路キャパシティが破綻する。バスや電車にぶち込んでいるからこそ8:00から9:00のタイトな時間でも、どうにかこうにか道路が破綻せずにやっていけてい...
みんなが自転車通勤を行使すると道路キャパシティが破綻する。バスや電車にぶち込んでいるからこそ8:00から9:00のタイトな時間でも、どうにかこうにか道路が破綻せずにやっていけてい...