干してあったバスタオル五枚と引き換えに降った雨は、いつもの道を少しだけ涼しくしてくれた。
道を半分塞ぐように溜まった水たまりが街頭の明かりを下から照らしてくれて走りやすい。
自然とペースが上がった。
今日の昼間も、急に必要になった印鑑を求めてお店に向かって走っていた。
汗だくになった顔を見て、お店の方がうちわを差し出してくれた。
田園を象徴するような苗字だが、日本の苗字の80%に入っていなかったので彫り機で作ってもらう。
判子屋さんが首を傾げるのがおかしくて、『やはり、珍しい苗字の方等取り扱うことも多いのですか』
つい口を挟んだら、水を得たようにおばさんの口が軽くなり、会話が進んだ。
何故かお客さんから依頼された印鑑を奥から出しておばさんの即席のクイズゲームが始まる。
これ読める?と見事に撃沈した興梠さん。
例のTwitterで、疲れた親父に見えると話題になった一谷さんの話をしたら、
テンションがなぜか上がって機械が彫り終わったことに暫く気づかなかった。
なんてことない三文判だったけど、うちわのお礼も込めて丁寧に後にした。
今日一日の同僚との会話よりも長い時間を話して若干午後の始業には遅刻気味。
お手洗いの洗面台で洗顔しても汗が引かないのでハンカチを襟足に突っ込んで業務に臨んだが、