2011-05-10

海に行った

女子:高い女子力と小二マインドを併せ持つ。20代後半。

僕:長く独り身。非モテはないと思うが色恋は苦手。30代前半。

女子が海に行きたいと言ったので、二人でドライブに出かけた。

車で約2時間。他愛無いお喋りは何時間あっても終わらない。

はまだとても冷たい。

靴を脱いで、膝下までつかると痛いくらいだ。

女子がふざけて水を跳ね、僕のボトムがぐっしょり濡れる。

仕返しに僕は女子を転ばせる。ふりをする。

砂浜に打ち上げられた海月は、とても綺麗に透き通っている。

触ると意外とコリコリしていた。

近場の温泉であたたまって、再び車を走らせる。

山間のワイナリーは客がほとんどいない。

試飲で女子はご機嫌だ。ちょっと酔ってるな。

海沿いに戻り、トラットリアで夕食。ワインを呑み足りないんだと。

量は多すぎたが、おいしい料理。特にチーズリゾットが良かった。

違う海岸へ夜の海を見に行く。

辺りは灯りも乏しく、ヒール女子は足元が覚束ない。

僕は女子の手を取り支えてあげる。

うん、自然だ。実は内心ドキドキだ。

暗闇を眺めながら、また少しおしゃべりをして。

帰り道も女子の手を引いていく。

駐車場に出ても、僕は手を離さない。

女子も、僕の手を握ってくれていた。

家まで女子を送っていく。

近くに車を止め、おしゃべりをする。

いつものことながら、どんだけ喋るのこの二人。

ふと、女子の手を握ってみた。

すると、だんだん口数が減っていく。

そのまま指を撫でていると、ついに女子は黙ってしまった。

僕が女子を見ると、一瞬視線が絡まり、女子は目を逸らす。

これ、噂に聞く「いい雰囲気」ってやつ?

慣れない空気の中、長い沈黙の果てに。

僕は意を決して女子の頬に手を添えた。

そして、すべきことをした

ドキドキしすぎて、目を閉じたかも覚えていない。

僕にこんなことができるなんて、驚きだ。

髪を撫でたり、散々に愛でているうちに。

女子は辛うじて再起動し、手で顔を覆ったまま呟きだした

今日あたし、おかしかった?

いつも若干おかしいよ。

そうじゃなくて。

少し懐っこかった。距離近め。

もしかして伝わってた?

何が?

その…。

…。

なんか、したいなって…キス…。おもってたの。

顔を隠してた手をおろさせて、もう一度。

きみ、ほんとかわいいな。

なんなのよう。その余裕がむかつく。

主導権取ったからな。

むー。あたしが先制すればよかった…。

形だけ抵抗する女子を、きつく抱きしめた。

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