今私は首都圏に住んでいる。
幸運なことにどちらの家も海からはかなり遠い。地震の揺れにも何とか耐えた。家族も無事だった。
家族や自分のこれからの生活に関しては不安は大きいものの、何とか踏ん張ろうと思っている。
その人たちは明るく振舞って毎日を過ごしている。自分達の方が状況が深刻にもかかわらず、
私も2人に何か言って少しでも気が楽になるよう励まそうと思った。
でも、何も言えなかった。2人に、「家族は大丈夫」という報告しかできなかった。
原発の恐怖におびえているわけでもない。放射能の風評被害や差別もそれほど影響は無い。
被災地の方に関心が行くから、パニックになってしまうほど「不安」に追い詰められる首都圏の人の苦しみも分からなかった。
家族に襲い掛かる地震の恐怖や、それなりの不安はあるがそれでも私はおおむね幸せに過ごしていて、
だからこそ何かしたいと思ったとき、実際私は誰の心にも寄り添うことすら出来ないのだと思い知った。