2023-10-24

ちなみに元巡査部長指導負担に感じたことがあるのは被告人だけではなかった。

被害者は「書類作成に細かい」ことでよく知られていたのだ。

被告人被害者と同じく河瀬駅交番に配属され、ともに働いていたもう1人の警察官が、午後に証人出廷した際、次のように語った。

「同僚からは異動前、被害者は『厳しく細かい方』だと聞いていた」

実際に、3人での勤務中、書類作成時に被害者から12〜13回もの修正を求められた被告人が、夜中まで対応している姿も見ていた。

だが証人自身は、一緒に働いてみて「ちゃんと教えてくれる人なんや」という思いに至り、指導を受けることで「自分の実力が上がる」と考えるようにもなったと語っていた。


さらに、事件の前年度まで被害者とともに働いていた元部下の調書では、被害者指導実態さらに明らかになった。

供述では、当時の辛い状況を振り返りながらも、やはり先の証人と同様、“愛のある指導”だったとも語る。

「口が荒く『アホ、ボケ』などが口癖だった。相手侮辱しているわけではなく関西人によくある挨拶がわりだった。

何を言っても『それは違う』と否定するので、嫌になり、言葉を選ぶのが難しく、自然と話しかける回数が少なくなった。会話は減る一方だった」

という元部下はしかし、こうも語った。

被害者刑事出身特に書類に厳しかった。指摘を受け毎回書き直しをしていた。ちょっとした間違いでも指摘してくるので正直気持ちよくはなかったが、書類作成能力が高くなったのではと思う」

さらに、

「その姿はパワハラに思われるかもしれないがただ単に自分仕事の出来が悪かった。

異動直前の送別会で初めて酒を酌み交わしたとき『よう頑張ったな、これからも頑張れよ』と言われた時、これまで自分を育てるために厳しくしていたのだとはっきりと分かった。感極まり号泣した」

供述を終えたのだ。

被告人勾留中に開示されたこの元部下の調書を読み「自分より厳しい指導を受けていた、それでも潰れなかった。被害者自分を育てようとしていたのだとわかって後悔し、うつ状態となった」(弁護側冒頭陳述より)という。

厳しい指導に隠された裏にある上司の思いというものは、その指導が終わってから気づくことのほうが多い。また同じ指導でも、教える側の人格、教わる側の人格により、まったく違う結果を生む。

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