■「トランスジェンダーを排除しているわけではない」が、排除するもの 岡野八代
https://wan.or.jp/article/show/9090
石上さんは、「女性トイレをはじめとした女性専用スペース」を、戸籍変更して暮らしている--すなわち、性転換手術をした――女性、これまで女性として生きてこられたトランス女性なら使っても構わない、ただ、「ペニスを付けた男性が女性風呂に入ることは、耐え難い」とおっしゃります。
(中略)
しかし、トランス女性にとって、自身にとってまさにプライヴェートな空間に入ることが、誰かに「構わない」と許容されなければならないとしたら、それはどれほどの苦痛でしょうか。
トイレ風呂などの性別分け問題、外見(身体)と内面(性)の違いで悩んでいる人の気持ちはわかるのだけど、個々の思想は別にして、自意識の性によって分ける運用をした場合に多くの人に想定されるであろう「プライベート空間とされている場所に外見上異性が入ってきたと思った時のドキッとする感情」の処理、解決方法については、どう考えているのだろうと思う。
これは、性犯罪の要因などの極端な話ではなく、単純な感情の問題で、女性に限らず男性でもありえると思うし、また、トランスの人であっても、同じように(自身の自覚性とは別の性の人がプライベートに入ってきたと思った時の感覚が)ありえるのではないだろうか。
「プライベート空間の権利」は誰にとっても重要なのは間違いないが、それは同時にトランス以外の人にとっても同じことが言える。
トイレでも風呂でも「最初からそういう前提のルールなら私は気にならない」と、はっきりと言える人はどれくらいいるのだろうか。また、はっきりと言える人でも、反射的にドキッとしてしまう感情そのものは「差別」だろうか。