2018-07-04

[] #58-6「罪罰メーター」

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この時点で俺たちは、ガイドが家から追い出される未来を予見した。

キトゥンもそれを察したのか、兄貴の膝上からそそくさと降りる。

だけど、兄貴木刀をまだ手に取らない。

「……その罪罰メーターについて、いくつか質問していいか?」

「ん? なにかな?」

「さっき、罰は違う手段でもいいと言っていたが、それは間接的であっても計算されるってことだよな。じゃあ殴られた当事者以外の第三者が殴った場合、それは罰として計算されるのか?」

「状況や性質によるね。その第三者当事者と何の縁もなく、別のシチュエーションで殴った場合、それは本件とは関係ない。ただ、一見すると関係がないようでも、因果的に関係があった場合ちゃん計算されるんだ」

「んー? じゃあ個人的な、第三者による私刑行為OKってことか? それって司法国家的にどうなんだ」

どうやら兄貴質問にかこつけて、ダメ出しをするつもりのようだ。

ガイドの持ってきた罪罰メーターを扱き下ろしてから、お帰りいただくつもりらしい。

いや、兄貴は当初からそのつもりだったろうけど。

ガイド兄貴を不機嫌にさせたせいで、より容赦がなくなってる気がする。


キレた兄貴の怖さを知っている俺たちは間に入ることができず、ただその質疑応答を見ているしかなかった。

「もちろん、そういった私刑を行った人物独善的行為だとして罪メーターが別途貯まるけど、対象者への罰としても成立はするね」

「成立しちまうのかよ」

俺たちでは上手く言葉にできなかった罪罰メーターの欠点を、兄貴はどんどん指摘していく。

ガイドは坦々と返していくけど、その答えは何か“大事もの”を削ぎ落としている気がした。

「他にも気になるところがあるんだが、そういった罰は合算なのか?」

「そりゃそうだよ。もし被害者から同じくらい殴られて、その上で部外者にまで殴られたら、罰としては重くなっちゃう」

「ということは、被害者加害者に何の罰も与えず、部外者の罰だけでメーターが減るってこともあるのか。その場合被害者は納得するのか?」

当事者が納得するかどうかと、罪に対しての罰が適切かどうかは別の話だろ。罪と罰において重要なのは意図”ではなく“行動”なんだから当事者が『殴った罰として、あいつを死刑にしてくれ。じゃなきゃ納得しない』って言われても、それは無茶な話になるだろう」


そうしたやり取りに飽きてきたのか、ミミセンが俺に耳打ちをする。

「マスダの兄ちゃんちょっとイチャモンじみてない?」

キレ気味とはいえ、確かに今回の兄貴ちょっとしつこい気がする。

結局この状況は、最終的に兄貴ガイドを追い出したら、それでおしまいだ。

それを先送りにして、まだ問い詰める理由があるのだろうか。

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