2018-07-03

クレームをつける仕事

クレームをつける仕事をしている。ボスからの指示を受け、やれ「不倫したタレントを出すな」とテレビ局クレーム電話を入れ、やれ「このご時世にその発言不謹慎だ」と出版社手紙を出す。やつらが萎縮すれば成功だ。件数と成果に応じてお金がもらえる。

最初はなんでこんな非生産的なことを、とも思ったが、やっていくうちにのめり込んでいった。こっちのクレームあながち間違ったことを言ってる訳ではない。正論相手一方的に殴るという暴力は、一度味わってしまうとなかなか抜けられない。今では自発的クレームを入れたりもしている。最近も警備中なのに座ってサボっているやつを見かけたので「座って警備とかありえない」とクレームを入れておいた。これであいつも今後は警備に身が入るだろう。

正直、どこからこのお金が出ているのかと不思議に思うこともある。採用面接の時には俺みたいな役割が百数十人いると耳にしたが、結構な額だ。どこかの国の工作活動かと頭をよぎることもあるが、いやいやそんなの知ったこっちゃない。俺も食べていくの必死なんだ。正しいことをして稼ぐのになんの問題がある。

ネットで騒いでいるやつらもいるが、俺は鼻でせせら笑っている。いくらネットで騒いでも無駄だ。世の中を動かしている世代はまだ電話手紙や対面で来る意見をありがたがっている。twitter上で何千人騒ごうが、結局そうした世代には届かない。俺ら百人の勝ちだ。

俺は世界を変えている。今日もたくさんのクレームを付けた。明日もっといい世界になっているはずだ。

  • M氏は、そんなことを考えながら、眠りについた。

  • 小説やノンフィクションが書けそうだな まあクレームごときを企業が相手にするとも思えんが

  • 身内がそんなようなバイトしてるけどやめる人多いらしいね うちの身内は統合失調症になった

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん