http://www.asahi.com/national/update/0721/TKY201207200768.html
ブクマを見ると、基本的に「奴隷商人(下請会社)が奴隷(作業員)の命を使い捨てにしている」という話として受け止められているように思う。たしかに、無料版で見れる範囲ではそうとしか取れないのだけど、コトはそう単純じゃないようだ。
上記の記事の続きを少し引用する。
役員は続けた。
「線量がなくなったら生活していけねえんだ。わかる? 50ミリがどんどん目減りしていくわけだから」
今回の工事は、東電がグループ会社「東京エネシス」に発注し、ビルド社が一部を下請けした。ビルド社員や、業者の紹介で各地から集まった人ら約10人の混成チームで、汚染水処理システムのホースを保温材で巻く。現場は、福島第一原発1~4号機の間近だ。
鉛カバーで記録上の線量が下がることは、放射線にかかわる人には常識だ。作業員の一人が「俺はやってはいけないことを…」と言うと、役員は遮った。
「やってはいけないってのは百も承知。やりたくない人は無理にやらなくたっていいんだよ」
別の作業員が「これって犯罪に近いと思う」と言うと、役員はこう反論した。
「私、無理押しした? 自分のために納得してやってもらえるんだったらやってください、ということなの。俺は自分の線量を守りたいからやるよ」
この役員は、実質的な現場責任者も兼ねていた。各地の原発で工事を仕切るため、「あそこ(福島第一)で全部(線量を)使い果たすわけにはいかねえ」とも語った。
同じ現場で鉛カバーを着ける人と着けない人がいたら、線量の記録がばらついて不正が見つかる。役員は自分の線量を少なく見せるため、全員に鉛カバーの装着を求めているのだろう――。作業員たちは納得できず、「なぜ鉛で隠すのか」と重ねて反論した。
役員は語気を強めた。
「鉛で隠さないと、線量なくなったら仕事にならないんだ」
ビルドアップ社が労働者を搾取するブラック企業で…というストーリーとして理解するのは簡単だが、そういう話とは程遠いことが、これを読めば分かると思う。
「線量=生活」であり、それを守るためなら自身の健康さえも犠牲にする人たちがいること。我々が利便を享受している現在の電力システムが、こうした人たちの犠牲に依存して成り立っていること。少なくとも、受益者である我々は、そのことを理解しておく必要がある。
これは、現在の電力産業とそのシステムの構造の問題なのだ。東電やビルドアップのような特定の団体や個人をわら人形にしたところで、問題は解決しない。
「線量が減ると生活していけない」=下請け会社がブラックで、適正な価格で労働者の労働力を購入していない。更に言えば、下請けは不当に安い価格で東電に入札している。要するに...
あそこの人なんじゃないの?