2011-11-18

放射能の影響で奇形が増えるなら流産の報告が増えてなければおかし

私は非科学的に放射能を怖がる人々にはうんざりしてます。で、「放射能奇形が生まれた!」みたいな騒ぎに「そもそも奇形自然にも生まれるもの有意に増えたのでなければ放射能の影響を強調するのはおかしい」という意見には肯定的で(そこに差別視線が云々という話もあるけど、いったんおいておく)す。

ただ、時々みかけるのが「放射能の影響で奇形が増えるなら流産の報告が増えてなければおかしい」で、こういうことを言ってる人には「ちょっと…」と思うのです。もちろん、放射線の影響に関する今までの調査その他から言って「放射能の影響で奇形が増えるような状態では流産等も増えているはずだ」はほぼ断言できると思われます

しかし、です。最も根本的な問題として「流産の量に関する統計ってまともにそもそも存在するんですか?」 以前から現在でもまともな統計はないと言っても過言ではありません。なので、データがなくてもみんなが認めるほど大きな変動でもなければ、「流産が増えたかどうかなんて実はよくわかりません」。もちろん、ある産婦人科からみて、「妊娠が分かって出産まで面倒を見ているうちの流産になった人が多いな」と気づく場合はあるでしょう。そういう産婦人科が増えれば、流産が増えた状況証拠としては使えるでしょう。でも、統計的に耐えるほどちゃんとしたデータを残している病院ってそんなにありますか?日常の診察の中で感覚として増えたと感じるなどの異常を感じたら、まぁさすがにそのときに声を上げる病院関係者はいるでしょうけれども。

なので「流産異常の増加が統計有意放射線の影響を示さない限り、放射線の影響による奇形の増加は認められない」と断定するのはちょっとつらいのです流産の数に関する調査がまったくなんの状況証拠にもならないとまでは言いません)。

あとは関連話題になりますが、流産の原因に占める要因別って、厳密に解明されたわけではありませんが、何周目かによって実は変わってきますストレスの影響が出やすい時期とそうでない時期、そういうものが言われてます特に初期は「本人が妊娠に気づく前に流産にも気付かない」例も案外ありますが、これに関するまともな統計はありません(推計はないことはないはずですが、微妙な増加を察知することはほぼ不可能です)。まぁ、世の中には妊娠に気づかず出産する人もいますからまぁこなのは例外中の例外なので統計的察知には影響ありませんので余談ですが)。微妙な増加を検出するには悪条件が余りにも多すぎるというのは理解いただけましたでしょうか。

まぁ、もっと言うと、「放射線奇形」が多発すると「不妊」も増えるはずです(そもそも受精しない)。が、不妊が増えたかどうかの測定は流産の測定異常にさらに困難です(どこに厳密なデータがありますか?)。

もっと言うと、不妊やある時期の流産にはストレスの影響も強いのはわかっています。従って今回のような地震原発問題のコンボの時期に「放射線の影響」だけ切り出して「流産の増加」を測定することは、まぁ簡単なこととは言えないと思いますが…。

私はこの手の分野の専門家ではないので上記の中に突っ込み所を見つけられる方もいらっしゃるしょうが、これを読んで正確な突っ込みを入れられるレベルの人を除くと、私は「放射能の影響で奇形が増えるなら流産の報告が増えてなければおかしい」などという余計なことは言わない方がいいと思いますよ。

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