2024-10-28

パノプティコン

仕事から帰ってきたら、リビングに見慣れない物体が鎮座してた。

何だこれって近づいてみると、どうやらそれは息子が図工の時間に作ったパノプティコンらしい。

パノプティコンって知ってる?真ん中に塔みたいなものが立ってて、そこから360度、全部監視できる構造になってるやつ。昔の監獄とかで囚人監視するために考えられたっていう、アレね。

で、うちの猫パノプティコン監視塔にちょこんと収まってるんだよ。

この塔がまた息子らしく、やたらと細かく作り込んである監視用の穴が四方八方、東西南北にびっしりと開いてるんだよ。

さっそく猫に向かって「おーい」って手を振ってみたらシュッて手が飛んできて、こっちがちょっかいを出す方向にきっちり反応してくれる。

それでさらに試してみたくなって南の穴から指をひょいひょい動かしてみたら、「…来る!」と思った瞬間、ピシッとそっちの窓から肉球パンチ

今度は北側の穴の方で指を動かすと、見事にシュバッとパンチが即座に飛んでくるわけ。

どの方向にいても、猫は全方位ちゃんと把握してるっぽい。

もうね、完全にパノプティコン機能してた。

こっちがどんなにトリッキーちょっかいをかけても、瞬時にどの方向にも対応してくるんだからもはや監視プロ

それで、しばらく息子と一緒に「今度はこっちからやってみよう」なんて言いながら遊んでたんだけど、なんか気がついたら猫のほうが楽しんでるみたいでさ。いつもなら飽きるはずなのに、全然離れないんだよね。

監視役にすっかりハマってるんだよ。

で、最終的には俺たちが先に根負けしちゃって、もういいやってソファに座ってたんだけど、それでも猫は塔の中に収まったまま。

からじーっとこっちを見つめてるわけ。完全に「監視してますよ」って顔してるのが面白すぎてさ。「おまえ、ホントにやる気だな」って思わず笑っちゃった。

翌日にはリビングからパノプティコンを片付けたんだけど、うちの猫ちょっと寂しそうだった。

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