Σₖ pₖ S(ρₖ) ≤ S(ρ)
S(ρ) ≤ S(ρ ◦ E)
ここで、S(ρ) は密度行列 ρ のエントロピー、pₖ はそれぞれの観測結果の確率、E はデコヒーレンスを表す行列である。
ρ → ρₖ = (Pₖ ρ Pₖ) / pₖ
pₖ = tr(Pₖ ρ)
ここで、Pₖ は完全直交射影演算子の集合であり、Σₖ Pₖ = I を満たす。また、エントロピーは一般に凹関数 h(x) を用いて次のように定義される:
S(ρ) = tr[h(ρ)]
⟨S⟩ = Σₖ pₖ S(ρₖ) = Σₖ pₖ tr[h(ρₖ)]
この期待値が初期状態のエントロピー S(ρ) よりも小さい、すなわち次の不等式が成り立つことを示す:
Σₖ pₖ S(ρₖ) ≤ S(ρ)
主要化とは、あるベクトル λ が別のベクトル μ を主要化する (λ ≺ μ) とき、次の不等式が成り立つことを意味する:
Σᵢ h(λᵢ) ≤ Σᵢ h(μᵢ)
ここで、λ(ρ) は密度行列 ρ の固有値のベクトルである。もし λ(ρₖ) ≺ λ(ρ) が成立するならば、観測後のエントロピー S(ρₖ) が元のエントロピー S(ρ) よりも小さいことが示される。
ρₖ = (Pₖ ρ Pₖ) / pₖ
pₖ = tr(Pₖ ρ)
Σₖ pₖ S(ρₖ) = Σₖ pₖ tr[h(ρₖ)]
3. 一方で、元のエントロピー S(ρ) は次のように表される:
S(ρ) = tr[h(ρ)]
4. ここで、主要化の結果を利用すると、次の不等式が成り立つ:
λ(ρₖ) ≺ λ(ρ)
5. この不等式に基づき、次のエントロピー不等式が得られる:
Σₖ pₖ S(ρₖ) ≤ S(ρ)
これにより、観測後のエントロピーが元のエントロピーよりも小さいことが証明された。
ρ → ρ ◦ E
ここで、E はデコヒーレンス行列で、その要素は Eᵢⱼ = ⟨εⱼ | εᵢ⟩ である。この操作はSchur積と呼ばれ、行列の対応する要素ごとに積を取る操作である。
デコヒーレンス後のエントロピーが増加することを次の不等式で示す:
S(ρ) ≤ S(ρ ◦ E)
この証明も、主要化の結果に基づいている。具体的には、次のように進める:
1. デコヒーレンス後の密度行列 ρ ◦ E の固有値ベクトル λ(ρ ◦ E) が、元の密度行列 ρ の固有値ベクトル λ(ρ) を主要化する:
λ(ρ ◦ E) ≺ λ(ρ)
2. 主要化に基づき、次のエントロピー不等式が成り立つ:
S(ρ) ≤ S(ρ ◦ E)
これにより、デコヒーレンスがエントロピーを増加させることが証明された。
Σₖ pₖ S(ρₖ) ≤ S(ρ) ≤ S(ρ ◦ E)