2024-07-10

anond:20240710001322

「太りすぎていたエドワード7世スーツの一番下のボタンを外したのがマナーとして定着した」という説は有名なのだが、少し怪しい。



ネット確認できる信頼性の高い資料として、ハーディー・エイミス(高級紳士服ブランドハーディー・エイミス創業者)が王立技芸協会1992年に行った講演の記録があるので読んでみよう。

https://www.jstor.org/stable/41378161

この中では、チョッキ(waistcoat)の一番下のボタンを留めない慣習の由来として「エドワード7世」説が挙げられている。

その一方で、三つボタンスーツでも真ん中のボタン以外を留めてはいけないとは言っているが、理由は見た目だけだ。

だいたいの下ボタンは前裾のカーブラインにあるのだから留めるわけにはいかないという。

どうしてそんな場所ボタンを付けるのかというと、かつての乗馬着の名残だからだそうだ。


馬など競馬中継しかたことがない俺などは100年前の乗馬着の伝統など知ったことかと思ってしまうが、ハーディーは質疑応答の中でこう答えている。

洋服というのは、まったく慎重を期さねばならんビジネスなのです。

三つボタンスーツには100年の歴史がありますが、二つボタンスーツ20年の歴史しかない。

伝統に生きる人間合理性というのは測りがたい。

記事への反応 -
  • ジャケットの下のボタンを閉めないアンボタンマナー、殆どの場合は合理的理由なしに「マナー」とだけで片付けられてしまうが、ボタンがあるのに閉めない合理的理由がわからずモヤ...

    • 「太りすぎていたエドワード7世がスーツの一番下のボタンを外したのがマナーとして定着した」という説は有名なのだが、少し怪しい。 ネットで確認できる信頼性の高い資料として...

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