2024-03-16

同級生の机にポッキーがはさまっていた日

その日、私は教室クラスメートの机にポッキーが挟まっているのを発見した。折れずに絶妙バランスで、無造作放置された姿に、なぜか奇妙な印象を受けた。まるで何かのサインのように見えたからだ。

そのクラスメートは、特に目立った存在ではなかった。それでいて、淡々とした日常に埋もれがちな人物だっただけに、そのポッキー存在が一層際立って不可解に映ったのかもしれない。一体どんな理由ポッキーを残したのだろうか。誰かへのメッセージなのか。考えれば考えるほど、理由は見当たらなかった。

翌日になっても、状況は変わらず、ポッキーはそこに無造作放置されたままだった。数日が経過すると、誰かに気づかれたのかポッキーはいつの間にか姿を消していた。

人は常に目に付いた些細な出来事に、過剰に意味を見出そうとする。しかし、大半の場合それらに深い意味などない。この出来事もそうだったのかもしれない。

当時の私にはそれが壮大な物語予兆のように映ったが、時間が経てば記憶の渦に呑まれ些細な記憶の片隅に追いやられてしまう。現に今、ベンチに不自然放置されたプリッツを見なければ思い出すことはなかっただろう。

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