やや地獄だった。
やや地獄、というのは、昨年の4月か5月か6月ごろの本当の地獄と比べれば一瞬に近いものだし、瞬発力はあったとしてもあの一か月と比べようもない。
しかし、しかしだ。この激情において、地獄はやはり地獄なのである。吸う空気は同じなのである。
さて何があったかといえば、冷静になりさえすればなんてことのない現象だった。
しかし、これであっさりと冷静になれるのであれば、今頃地球は欠け、人類は滅亡しているに違いないのである。
つまり、無理
不倫現場を目撃しただとか、目の前で知り合いが刺されたとか、そういう救いのない現象よりかは100000倍マシだ。
ただそれでもやや地獄だと表現するのは、案外真実は、目に見えた現実とイコールで結ばれている可能性があるからだ。
嘘だと言いつつ本当だとか、あえて真実をさらすことで誤魔化そうとしているとか、そういう可能性がないとは言えないからだ。
だから、やや地獄だった。全体的には些細なことかもしれないが、自分の境遇からすればとんでもない地獄だった。
間を取って、やや地獄。
まあ、これが着火点だとしたならば、人生の起爆剤となったのならば、ここまで生きてきた価値はあるだろう。
ああ、地獄だった。
これより臨戦態勢となる。
続け、未来。