平日の昼間に遊園地行くと、全体的に人が少ない。その反面そこに来ている人の属性の多様さは休みの日に引けを取らない。明らかに仕事中のスーツ姿のサラリーマン、妙に歳の離れたカップルや、子供そっちのけで熊に算数を教える母親たち。休みの遊園地とは別の意味での非日常を味わえる。常に非日常の世界を生きるマスコットキャラクターと違い、彼ら/彼女らは非日常と対となる日常も当然ながら持っている。裏面を見て表の姿を想像するというのもなかなか暇つぶしになる。例えばチューリップの形をした止まった時計に向かって怒鳴っているこの男性にも、少なくとも親はいる。ひょっとしたら妻や子供もいるかも知れないし、梨園で繋がりを絶った同級生がいるかも知れない。顔に現れる小さな皺や笑いかたの癖で残りの人生も概ね予想がつく。地獄の寿司屋でメニューに載ってないネタを注文する心境に近いかも知れない。どの社会からも受容されないのが分かってるから目隠しして鼻を摘んで食べるしかない。