作品を公開したらちょっと有名になり、いくつかのゲーム企業からウチに来ないかとオファーも貰った。
でも結局それらは全部断って、全然関係のない業界に俺は就職した。
俺が作りたいのは「自分の作品」であって、自分の作りたいものと異なるゲームを仕事で作るのは耐え難いと思ったからだ。
今なら起業して作るという選択肢もあるかもしれないが、当時はちょっとそれは考えられなかった。
だから俺は、ゲーム作りは今後も趣味として続けることにして、仕事は余暇時間重視で選んだ。
そして20年近くが過ぎた。
働きながらも10年以上はゲーム作りに情熱を燃やしていたが、様々なことに忙殺されて、今やその情熱は枯れ果てた。
他に大した趣味もなかった俺は、ただの無趣味の人間になってしまった。
ふと、あの時オファーを断っていなかったらどういう人生になっただろうかと思うことはある。