氏は、管理職でもないのに勝手に他人へ日常業務という名の課題を出して、勝手に他人のことを試験する。
被試験者である下級職は、自分が試験に供されていると気づかない。
よりにもよって成績は振るわず、氏は被試験者を不合格とした。被試験者は落第の烙印を押されたことにすら気づかない。
氏はその「勝手な試験の不合格」を管理職へ突きつけ、被試験者の今後の処遇について進言するのである。被試験者は氏の進言にすら気づかない。
氏は地固めを怠らない。被試験者が成し得なかった日常業務を、自らが献身的にこなすのである。細かなほうれん草を添えてコミュニケーションも忘れずに。
管理職は氏を信頼するあまり、自らがつけた下級職の評価を差し替えた。氏の発言をそのまま流し込んだ。自分で見たことよりも信頼する人から聞いたことの方が、管理職にとっては優先されるらしい。
そうして人事権が発動され、下級職は飛んだ。
氏は業務の割り振りや座席配置を管理職へ吹き込み、それらは見事に採用された。
氏のフロンティアが、そこにはある。