2020-08-23

犬に関する怪談

私が小学生くらいのとき犬を飼っていた。

マルチーズって犬種の白い小型犬。当時で2歳くらいだった。

そいつは夏になると玄関の上がりかまちに寝転んでいることが多かった。

風が通るしコンクリの床が気持ちよかったのだろう。

ある夜、いつものように寝転がっていた犬が突然悲鳴を上げた。

玄関から逃げて、部屋の隅で震えてる。

誰かが踏んづけたわけではない。虫に噛まれたか?と思い身体を調べても特に異常はない。

結局その日は玄関に近づくことをずっと嫌がっていた。

後日、母親が、うちの犬にこんなことがあって、と近所の人に話をしてたとき

ある人からもしかして、とこんな話を聞いたらしい。

その人も犬を飼っている。うちと同じ犬種

ただ、こちらの犬は老犬だ。

ある日、飼い主が趣味登山にでかけた。老犬はお留守番

夜帰ってくると、老犬が「おかえり」というふうにのそのそ自分の元へやってくる。

飼い主が「ただいま」と抱き上げると、そこでふっと息を引き取ったそうだ。

その時間がちょうどうちの犬悲鳴を上げた時間らしい。

うちの犬は若く元気だった。その老犬と散歩とき出会うと「遊ぼう!」とじゃれつく

老犬に「うるせえなあ」といったふうに無視されることが日常だった。

そんな仲良しとは言えなかった二匹だが、老犬は最期のお別れを言いに来たのかもしれない。

おわり。

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