2020-06-15

ねこと部屋掃除

部屋を掃除する。

ソファねこタワー、キッチンテーブルを寄せ、箒でフロアを隅々まで掃き、清め、空気を入れ替え、洗濯物は洗濯を、洗い物は洗い物をして、ゴミ出しをする。

そうしてものを元の位置に戻す。ねこは模様替えがきらいである。だから極力、もとの通りに。

基本配置は同じでも、新たに発見される土地というのがある。

それまで洗濯物が積まれていた座布団の上、猫の毛がたまっていた絨毯やフローリングの端、隅、ものを寄せて生まれた新たな動線

そういったところを、ねこは見逃さない。

ひとまわりし、こちらにいちど立ち寄って頬を寄せてから新天地に鎮座し、そのうしろあたまさんは、まるで隣に寝そべる下僕守護する者の象徴のようでもある。

流しに退避させていたねこの水入れと食器を戻す。

新鮮な水に汲み換えながら、下僕は思う。「また、こまめに掃除をしよう。なんていい気分だ。こんなことなら、ねこちゃんのために、もっと早くすればよかった」

そして下僕は別れた女や、亡くした母親のことを思い出す。わざわざ、思い出すことなんてないのに。

「おれに片付けをさせるのに、やいのやいのいわなくてもよかったんだ。ね、○○ちゃん

「にゃーん」

ねこの背に鼻を寄せようとしたら、彼女は窓辺へ向かっていった。

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