体を壊して休んでいたとき、食事がとにかく苦痛だった。何も食べる気がしないので、完全食を我慢して飲み込む。目標があって生きているときには便利なものだが、なんのために生きているか分からないとき、その作業は一段と生きる意味を損なわせてきた。
それでも身体はえらいもので、少しずつ回復した。人の居ない夜中に、風に辺りにいくことができるようになってきた。帰りにコンビニによってみると、おにぎりのパッケージがおいしそうに見えた。それから少しずつ、種類のあるものを選べるようになった。
調子が悪いときは出かけられないため、冷凍食品を常備しておくようになった。ローソンの冷凍食品はパッケージがおいしそうなので、何も買わずに帰ることは少なくなった。蒸気が逃げる容器のおかげなのか、記憶する冷凍食品のクオリティではなかった。中でも麻婆豆腐は花椒が効いていて、その攻めた味が好きになった。一般受けはしにくかったのか、なかなか見かけない日も多くなってきたが、種類が豊富なので助けられた。
よろよろと起き上がって、食べるものを探す。驚くほどおいしいとは言わないが、どれも一定以上の水準を保っている。食感も残るように工夫しているのか、味だけではなく毎回別のものを食べている感じがあった。食事を選ぶ楽しみを思い出してきた。それを支えてくれたのは、食欲をそそるおいしそうなパッケージだった。
コンビニ以外にも行けるようになり、以前ほどは買わなくなってきた。ただあのときは助けられたな、と思い出す。だんだんと少なくなってきた旧パッケージの商品に潮時を覚える。