前回、「死にたい人(A)」と「死なせたくない人(B)」について簡単に触れた。
BがAを死なせたくない理由について、考えられるものを列挙してみたい。
1.罪悪感にとらわれる
3.同志を失う
4.Aに好意がある
1に関して。
いざ死なれてしまうと「〇〇すれば、食い止められたのではないか」などと自責の念に駆られるだろう。
2に関して。
Aが「死にたい自分」を肯定されたいのと同様に、Bは「生きていて欲しいと言っている自分」を認めてもらいたい。だからAの死というのは、Bを否定する上にしか成り立たない。
3に関して。
それと同時に、この2人は「死に抗う同士」でもある。重篤度こそ違うが、死に憧れ、しかし死にきれずにいる。互いの存在が生へと繋ぎ止める一因となっているのは間違いない。
4に関して。
Bの周りには他にも何人か自殺願望を持った人がいるのだが、ほとんどが女性である。B自身が意識しているかはわからないが、どこかで女性を求めており、特にAに関しては好意に近い感情を抱いているのではないかと思う(ただし、この4に関しては他の理由に比べるとそこまで大きな要因ではないかもしれない)。
2人の間で渦巻いているのは、「死を介した強烈な承認欲求」のようである。
互いは死によって結び付けられるが、最優先事項が真っ向から対立している。つまり、「死にたい自分を肯定されたい」というAと、「生きていて欲しいと言う自分を肯定されたい」というBの、せめぎあいなのだ。