退職しようと思っていたのです。
上長に退職の意思を伝え、現場の管理者にも話を通して、自己都合の退職だけれどもなるべく社には迷惑のかからない時期に辞める段取りになっていました。
時期は新入社員が入社して、研修、引き継ぎが終わる夏前頃になる予定でした。
あと半年でこの腐った人間も、一時的に社会の軛から解き放たれ、人間としての最低限の気力を取り戻せるのではないか、そんな淡い期待だけを支えに毎朝重い気分を振り切って出社していたのです。
それが先月、上長に伝えられた転勤の提案でめちゃくちゃになってしまいました。
この話を聞いた時、私はすぐに断ることが出来ませんでした。
自分の身を心配してくれる家族はこれ以上の話はない、この話をありがたく受け取るべきだと言います。
ですが、私はあれほど辞めるしかないと思っていたのに、心のどこかで勤務地が変わるだけで、今の仕事の出来ない自分やどうしようもない勤務態度が改善するかもしれないと考えている自分が情けないです。
あれだけ、この仕事を続けるつもりはないと言い張っていた自分が未だに社会に関わる期待を捨てきれず、返事を保留して逃げ帰ったことに恥を感じています。
もういっそのこと消えてなくなってしまいたい。
そしたら何も考えなくていいのに。