ふとリビングに並んだ冷蔵庫や電子レンジ、パソコンを見ると、それらの扉や画面が几帳面な顔をして佇んでいる。
たがそんな彼らを生んだ技術者や、工場作業員にも日々の暮らしがあり、悲喜交々な人間の生の感情が潜んでいるということに気づくと、なにか嘘くさいものを感じた。
俺の両親は昔から仲があまり良くなかったが、数年前酒に酔った親父がお袋を殴ってから、お袋はPTSD気味になり親父と顔を見て合わせるのも嫌だという。
去年田舎の大学へ進学した弟の世話をするという名目で近頃は、家にもあまり帰って来ない。
20数年で人生を語るのはおこがましいとは思うが人間の生活はおままごとのようなものだと思う。
労働して得られた賃金で人生を豊かにしたつもりで、大したことの無い自分を誤魔化して生きている。