透視図法の基本はこれだけ。
昔、美術の授業で二点透視図法を習ったとき、斜め向いてる複数の箱を描けるようになって満足していたが、そのすぐ後には
「あれ?これだと、違う角度で斜め向いてる箱はうまく描けないじゃん」
みなさんは、幼い私のこの疑問に答えられますか?
相当後になってわかった答えは、
だった。
なんじゃそれ、ぜんぜん二点透視じゃないじゃん。
これは四点透視とでも呼ぶのか?もちろん呼ばない。これは相変わらず二点透視だ。
平行線は何本あろうとも、無限に彼方の同じ点に向かって消失していく。これを消失点と呼ぶ。
それはすべての線が平行である場合に限るのであって、別の角度の線は、別の消失点に向かう。
ただし、観察者の目線に対して垂直な線(つまり、キャンパス面に対して平行な線)は、消失点を持たない。
なぜならどこまで伸ばしてもキャンパス面から離れられないからだ。
上段を踏まえ、1個の立方体について考えてみる。
立方体には辺が12個ある。これらは4つずつが平行になっている。つまり、平行線のセットは3組ある。
3組の平行線があるということは、消失点が3個できるということだ。
これが、三点透視図法、ということになる。
また、平行線の組のうち、キャンパス面に平行なものがあれば、そのぶんだけ消失点は減る。
たとえば観察者の目線が水平であり、かつ立方体が水平な状態(床に置いてあるなど)であれば、12本の辺のうち鉛直な4本はキャンパス面に平行なので、消失しない。
さらに一つの面がちょうど観察者を向いている状態なら、横向きの4本の辺が消失しなくなり、消失点は1つ。一点透視図法。
要するにこれだけの話だったことを、誰も教えてくれなかった。
描きたい物体が、全て同じ向きの直方体のみで構成されていれば、上の議論により最大三点までの透視図法で対応できる。
でも、ちょっとでも違う角度の線、たとえば立方体の上に45度回転した立方体が乗っている、みたいな図を描こうとすれば、三点では足りない。
そんなのはないなら、初めから一点透視も二点透視もないんじゃないか。
あるのはただ透視図法だけ。