2017-10-15

透視図法に一点も二点も三点もない

平行線は同じ無限遠点に消失する」

透視図法の基本はこれだけ。

昔、美術の授業で二点透視図法を習ったとき、斜め向いてる複数の箱を描けるようになって満足していたが、そのすぐ後には

「あれ?これだと、違う角度で斜め向いてる箱はうまく描けないじゃん」

悶々としたものだった。

みなさんは、幼い私のこの疑問に答えられますか?

相当後になってわかった答えは、

「その場合、別の二つの消失点に向けて線を引けばよい」

だった。

なんじゃそれ、ぜんぜん二点透視じゃないじゃん。

これは四点透視とでも呼ぶのか?もちろん呼ばない。これは相変わらず二点透視だ。

思うに授業での教え方と、二点透視図法という名前が悪い。

平行線は何本あろうとも、無限に彼方の同じ点に向かって消失していく。これを消失点と呼ぶ。

それはすべての線が平行である場合に限るのであって、別の角度の線は、別の消失点に向かう。

ただし、観察者の目線に対して垂直な線(つまりキャンパス面に対して平行な線)は、消失点を持たない。

なぜならどこまで伸ばしてもキャンパスから離れられないからだ。

上段を踏まえ、1個の立方体について考えてみる。

立方体には辺が12個ある。これらは4つずつが平行になっている。つまり平行線のセットは3組ある。

3組の平行線があるということは、消失点が3個できるということだ。

これが、三点透視図法、ということになる。

また、平行線の組のうち、キャンパス面に平行なものがあれば、そのぶんだけ消失点は減る。

たとえば観察者の目線が水平であり、かつ立方体が水平な状態(床に置いてあるなど)であれば、12本の辺のうち鉛直な4本はキャンパス面に平行なので、消失しない。

よって消失点は2つとなり、二点透視図法。

さらに一つの面がちょうど観察者を向いている状態なら、横向きの4本の辺が消失しなくなり、消失点は1つ。一点透視図法。

要するにこれだけの話だったことを、誰も教えてくれなかった。

描きたい物体が、全て同じ向きの直方体のみで構成されていれば、上の議論により最大三点までの透視図法で対応できる。

でも、ちょっとでも違う角度の線、たとえば立方体の上に45度回転した立方体が乗っている、みたいな図を描こうとすれば、三点では足りない。

今の例だと最大5つの消失点が現れる。

五点透視図法?そんなのはない。

そんなのはないなら、初めから一点透視も二点透視もないんじゃないか

あるのはただ透視図法だけ。

そう教えてくれたほうが遙かにわかりやすいのに、なぜ美術の授業はあんな風になっているんだろう。

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