なんでだろう、なんで売れないんだろう。おかしい、実力も人気もあるはずなのに推されない。
でも本当はなぜだかなんて知っている。もう、そういうタイミングをきっと彼はずっと逃してきてしまった。
いや、長年チャンスすら与えられなかったんだろう。
誰が何と言おうと彼が一番かっこいいし、実力だってある。けれど多分、今後推されることはない。
私が彼だけを信用し、好き好き大好き愛してる!一生ついて行く!なんて言うのは、そう言うしかないから。
彼以外の彼を取り巻く全てを信用できないから、もう、ただこの暗い客席から愛を叫ぶことしかできない。
そのステージにいる最後の瞬間まで誰かに愛されていたということ、顔も知らぬ沢山の人を幸せにしてきたことを彼に知っていて欲しい。
彼は賢い。
夢を見て目標に向かって努力しながら、現状を分かっている。現状での最善手を打ち続けてくれる。少しでも現状突破の光を探そうとしている。
あぁ、でも、この狭く窮屈な世界に現状突破の光が射すのだろうか?長く均衡状態が続いているこの箱が生まれかわることがあるのだろうか?
均衡が崩れ新たなフロントメンバーが頭角を現してきたときに、彼は、その箱にいれるのだろうか…
私は臆病者だから、均衡が崩れる「その時」が怖くて怖くて怖くてたまらない。だから箱に固執せずもう別のベクトルで生きていってほしい。
本当はアイドルをしていてほしい、でも第一は生きていて欲しい、私の見える範囲で。
我儘だ、私はなんて我儘なんだ。私の見えるところで生きていて欲しいから早く箱から出て別の世界で活躍してほしいだなんて。