2017-03-23

[] #19-3「謝罪謝罪

≪ 前

シューゴさん、お疲れ様です」

「まあ、こんなもんだろう」

シューゴさんにしては随分とマトモな謝罪だったようで、一応はつつがなく終了したらしい。

完璧ではありませんが、これでいいでしょう」

そもそも完璧謝罪なんて存在しない。後は世間勝手に折に触れればいい」

シューゴさんは慣れないことで疲れた様子だったが、何事もなかったように普段仕事担当したらしい。


「……といった話だ」

父にそんな話をされて、俺はリアクションに困った。

俺はシューゴさんという人を大して知らないし、関心もない。

その人が謝罪をしようがしまいが、そして謝罪の内容が良くても悪くても、俺にはどうでもいいことだった。

「なぜ俺にそんな話を?」

自分というもの社会でどう在るか見せるのに、謝罪というものは分かりやす指標なのさ」

「それは……謝罪するかどうかってこと? それとも謝罪の仕方がってこと?」

謝罪という概念と、どう向き合うかって意味でだ」

「うーん……? 是非を求められて謝罪をして、その謝罪自体にも是非が求められるなら、謝罪という概念のものがないほうがシンプルに思えるんだけど」

俺の言葉に、父は目を丸くさせる。

そして徐々に頬を緩ませると、とうとう声を上げて笑ってみせた。

「ははは、そりゃそうだ。そもそも謝らないで済むのが、一番いいに決まってる。ある意味完璧謝罪だ」

自分ではそのつもりはなかったが、どうやらかなり変なことを言ってしまったらしい。

俺は何となく父に追従して笑った。

(#19-おわり)
記事への反応 -
  • 挿入歌:「アポロジー・イメージ」 歌:シューゴ 作詞・作曲:シューゴ おはようございます 挨拶は大事 この度はご足労いただき まずは労うこと大事 どうでもいいこと? 実...

    • 父が働く会社での話だ。 父の会社にはシューゴという人がいて、この人は会社の顔とも言うべき立場にある。 ただ、この人の言動はヘイトを広めやすい性質があった。 大抵の場合は...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん